【スケジュール の一部】(予定)
◉ 8月10日(土)- 11月10日(日) 『水の絵本』長田弘・荒井良二展
◉ 8月10日(土) 『〈カナウニワ〉絵本 制作公開』出演 : 荒井良二
◉ 9月1日(日) 『落語家。絵本を読む』落語会 出演 : 柳家小もん・立川がじら(ともに二つ目)
◉ 9月9日(月) クラウドファンディング : 募集開始!
◉ 9月28日(土) 『〈カナウニワ〉CDショップ』オープン
◉ 9月28日(土)29日(日) 『敷島。本の森』ブックマルシェ / コーヒーマルシェ / コンサート / 詩の朗読 他
◉ 9月28日(土)29日(日)30日(月) 『劇団 どくんご』テント演劇公演
◉ 10月5日(土) 『〈カナウニワ〉トタン絵』ライブペインティング 出演 : 荒井良二 他
◉ 10月12日(土)13日(日)14日(月) 『〈カナウニワ〉コーヒースタンド』建築ワークショップ
◉ 10月18日(金)19日(土)20日(日) 『〈カナウニワ〉井戸掘り』ワークショップ(準備・工事 ; 10/16-25)
◉ 10月26日(土) 『〈カナウニワ〉井戸開き』出演 : 荒井良二・石坂亥士(神楽太鼓)他
◉ 10月26日(土) 『直会:なおらい』井戸開きを祝う会
◉ 10月26日(土) 『〈カナウニワ〉コーヒースタンド』オープン
◉ 10月27日(日) 『〈カナウニワ〉のはじまり』出演 : 荒井良二・川村亘平斎(ガムラン・影絵)
◉ 10月29日(火) クラウドファンディング : 募集締切
【ものがたり】
『絵本みたいな場所』のはじまり:フリッツ・アートセンターとは
久しぶりに帰った、生まれ育った街からなくなっていたものは、大きな木や空き地や喫茶店や本屋や映画館でした。
それは、自分をつくった、なくてはならない場所。行き場所。居てもいい場所で。
また、中心地は郊外のロードサイドに移動して、公の建物は「らしさ」を失い、場所を必要としない時代のはじまりでもありました。
生産性と効率こそが明るい未来と、みんな一斉に単線を走り始めたのもその頃で、その居心地の悪さから、
ならば自分だけでもと、何も変わらないまま街の奥にある公園の古い森の側に、場所を探しました。
1985年。最初は、まだ会うことのない理解者と出会うために、カフェをつくります。 「RITZ」という名前の、石でできた四角いおとこの建物で、30種類のオムレツとキッシュと庭の結婚式が評判でした。しばらくして、ひとりぼっちだった建物にパートナーができます。 すぐとなり、百年の杉の木の下の、赤くてまるいおんなの子の建物で、「RITZ」に女性の “F” をつけて「F-ritz art center」と名づけられました。1993年のことです。
その時の《1+1=1》というコンセプトは、より多くとか、より早くとか、より高くということではなく、変らぬ毎日の営みのなかで、
すこしずつ円周を拡げていこうとするものです。そう、ひとつの水滴にもうひとつの水滴を置いていくかのように…。
『絵本屋』『タンタン・ボックス 前橋店』『ポスター・ボックス』『美容室』『家具屋』…..。同じ価値観と未来への夢を持つ仲間も次第に増えていきます。「クリスチャン・ボルタンスキー展」と「くまのプーさん絵本原画展」をオープニングにしたギャラリーでは、数多くの新たな表現も生まれていきます。
宮沢賢治の全ての童話を絵本にと始められた「宮沢賢治絵本原画展」も、第十三期30作目になりました。
同時に《街を 街そのものを美術館に 劇場に》を合言葉に、街にも出かけて行くようになります。
家具店跡をギャラリーに、スーパーマーケット跡を劇場に、商店街の通りをサーカス会場に、百貨店跡をパフォーマンス・スペースに、アーケード内を映画館に、県庁前広場をキャンプ場に、銀行跡をライヴ会場に、消防署跡をアートセンターに…。
空き地で子どもたちが新しい遊びを発明するように、使い方を工夫しながら、アートによって空間を再生していこうとする、壊しては
作るという時代への抵抗の始まりでした。
2009年には空きデパートの中の映画館跡を再生。地方では珍しい名画座として「シネマまえばし」を開館します。これは《1回 一万人というイベントではなく 毎日30人1年で一万人を 街に》というコンセプトで、失われつつある「日常性」と「つながりあう気持ち」をゆっくりと恢復していこうとするものです。
そして、フリッツ・アートセンターは、成長に代わる新しい豊かさのあり方を見つけるために、35年かけて創った小さな物語と、そこから生まれた価値観を見直し、未来から今を思い描き、変化を恐れずに、また動いて行こうと思います。
『絵本みたいな場所』を残しておくために。
子どもたちの 子どもたちの 子どもたちのために
2019年9月9日
フリッツ・アートセンター