髙畑早苗 展

REWIND : 2025 ◀︎◀︎ 1991

 

 

会 期 ‖ 2025年9月13日(土) – 10月26日(日)
会 場 ‖ フリッツ・アートセンター / ギャラリー
休館日 ‖ 火曜日(祭日の時ははその翌日)
時 間 ‖ 11:00-18:00
入館料 ‖ 無料

 

 

《Artist Statement 》
時を経て再びフリッツ・アートセンター で展覧会がきることを心から嬉しく思います。
このたび展示をする作品の大半は、友人たちへの長期インタビューをもとに制作をした言わば共同作業の中から生まれてきたポートレートたちです。「Intimate Reflections 1991-1995 生まれ出た自画像たち」と題して、佐賀町エキジビット・スペース(東京)を皮切りに、フリッツ・アートセンター(前橋)、法然院(京都)と巡回しました。当時30代だった私は、毎日がどうしようもなく辛くてこの先も生き続けていく意味が見つからず、自分が移り住んできた街(前橋、パリ、ニューヨーク、シアトル、横浜、東京)で暮らす友人たちにその答えを尋ね歩きました。
あれから30年の歳月が流れ、「Yin&Yang (陰陽)」という作品のモデルで、ニューヨーク時代の私に多大な影響を与えたチェリストのMyungが昨年亡くなり、彼女のポートレートを再び展示したいと願ったことが REWINDの始まりです。
私はゴッホに憧れパリに行き18歳からアーティストの道を歩み始めたのですが、今思うに、私が人生を通してやり続けていることは美術というよりも自分の探究、人間の探究、見えないものへの畏怖と祈り、そして、降りかかってくる困難を乗り越え、自分を軸にものごとを考え続けていくこと。日々修行です。」

 

2025年8月 髙畑早苗

 

《展示内容》
「Intimate Relections1991-1995」を中心に 1991年~2022年の間に友人達を描いた等身大の ポートレート(194 x 130 cm) キャンバスに油彩13~14点。
1980年代に制作したマスク作品 近年に制作したパーソナルオブジェ(身にもつけれらるオブジェ)など。

 

 

⚫︎ 作家在館日 ‖ 11:00 – 17:00
9月13日(土)・10月11日(土) ・12日(日) ・25日(土) ・26日(日)
⚫︎ アーティスト トーク : 在館各回 13:30 から(参加自由)
⚫︎ Creative Kids Club Art Workshop〉
期 日 ‖ 10月11日(土) 13:30-
参加料 ‖ 1.000円(材料費込み・要予約)
・展示作品の作品「解放」のモデルで、元文学座の女優で現在は「語り」の活動をしている 和田裕子さんの昔話を聞きながら、「目の前に見えてる世界」と違ったお話の中の世界。その意識で身近なものを使って好きなものを作りましょう。(5歳以上)

 

 

【プロフィール】
髙畑早苗 SANAE TAKAHATA
1959年 群馬県前橋市生まれ
1977年、高校卒業後アルバイトで貯めた資金でパリに行き、18歳でパリのギャラリーにデビューする。1981年に渡米。ニューヨークのZoma Galleryと専属契約。80年代をアメリカで過ごし、女友達や自分をモデルにした多くのポートレイトを制作し国内外で発表。1991年から現在まで、親しい友人達にインタビューし彼女達のポートレイトを描いたシリーズ「Intimate Reflections」、土地や時代の空気をSpiritsとして擬人化し描いた「妄想精霊」シリーズ、身にも付けられる立体コラージュ「パーソナルオブジェ」を制作し発表を続けている。「転変無常」(Soft Sculptures / Mixed Media)シリーズは、変化を続ける自分の“意識の鎧”として2001年に既製品のドレスの上に描き始め、2008年からは自分で縫ったカタチの上に描いている。

 

◎主な展覧会:Myrna Myers, Paris 1978年・群馬県民会館(現:ベイシア文化ホール)前橋1978年・「Puffs from Passing Incarnations」Zoma Gallery, New York 1982年・「幸福な場所」佐賀町エキジビット・スペース 東京1984年・「Intimate Reflections 1991-1995 生まれ出た自画像たち」佐賀町エキジビット・スペース 東京 / 1995年 フリッツ・アートセンター(前橋)/ 1996年 法然院(京都)・「My Sister’s Room」Artist Place Mischief 高崎 1997-1998年・「WEAR ME 転変無常」法然院 京都2006年・「WEAR ME 變幻無裳」OC Gallery 九龍,The Fringe Club 香港2008年・「WEAR ME 転変無常 2012 Krakow」日本美術技術博物館manggha クラコフ2012年・「Metamorphosis」Mur Nomade 香港 2014年・「妄想中世」佐賀町アーカイブ 東京2015年・「前橋の美術」アーツ前橋 前橋2017年・「妄想大航海時代」ギャラリー砂翁東京2018年・「Marginal わたしたちの声が聞こえる」東京ビエンナーレ2020/2021 十思スクエア 東京2021年・「アートプロジェクト高崎2021」高崎2021年・「波 Nami: In Waves」ギャラリー小暮/White Walls Gallery マニラ2024年・2015年からH.P. France Window Gallery(現:H.P. France Bijoux丸の内)で毎年個展開催。その他国内外で個展多数。

 

◎共著:社会学者の上野千鶴子さんとのコラボレーション『あ・な・た・た・ち -自我からの癒し-』(NHK出版 1995年)・『表現する女たち-私を生きるために、私は創造する』京都精華大学総合講座「女性と芸術」編:三木草子、レベッカ・ジェニスン(第三書館 2009年)

 

◎その他の活動:子供達がアートを通し自由に自分を表現できる場「Creative Kids Club」主宰
「わたしたちの声が聞こえる -Creative Kids Club 人形町-」stand.fmで様々な人の声を届けるラジオ番組を不定期で開催。

 

 

後 援 ‖ 群馬県・群馬県教育委員会・前橋市・前橋市教育委員会・各報道機関

 

フリッツ・アートセンター
〒371-0036 前橋市敷島町240-28
Tel. 027-235-8989
mail. info@theplace1985.com

 

 theplace1985.com

 

〈作 品 : 上から〉
①「Mischief / 茶目っ気」
194x130cm. Oil on canvas. 1993-1994
② 「自 立」
194 x 130 cm, Oil on canvas. 1997-1998
③「Go For Broke 」
162x130cm. Oil on canvas. 2017-2020
④「Sarah」
100×80cm. Oil on canvas. 2005
⑤「Volition / 意志力」
33.4 x 24 cm, Oil on canvas, 1993
⑥「Hope / 希 望」
194×130cm. Oil on canvas. 1994-1995

 

 

ものがたり

1985年「カフェ」 1993年「本屋」 2009年「映画館」 2014年「the place」
そして 2019年〈絵本みたいな場所〉へ

〈絵本みたいな場所〉という物語は、1985年の “カフェ RITZ" からはじまります。
大きな公園の森のなかの、石でできた四角いおとこの建物です。
30種類のオムレツとキッシュと庭の結婚式が評判のカフェでした。
しばらくして、ひとりぼっちだった RITZ にパートナーができます。
すぐとなり、百年の杉の木の下の、赤くてまるいおんなの子の建物で、
RITZ に女性の「F」をつけて "F-ritz art center" と名づけることにしました。1993年のことです。
その時の《1+1=1》というコンセプトは、より多くとか、より早くとか、より高くということではなく、
変らぬ毎日の営みのなかで、すこしずつ円周を拡げていこうとするものです。
そう、ひとつの水滴にもうひとつの水滴を置いていくかのように …。

『絵本屋』『タンタン・ボックス 前橋店』『ポスター・ボックス』
『美容室』LE SALON、『家具屋』RETRO BOX .....。

「クリスチャン・ボルタンスキー展」と「くまのプーさん絵本原画展」をオープニングにしたギャラリーでは、
数多くの新たな表現が生まれています。
《賢治の全童話を絵本に》と始められた「宮沢賢治絵本原画展」も、第十三期30作目になります。
同時に《街を 街そのものを美術館に 劇場に》を合い言葉に、街にも出かけて行くようになります。
家具店跡をギャラリーに、スーパーマーケット跡を劇場に、商店街の通りをサーカス会場に、
百貨店跡をパフォーマンス・スペースに、アーケード内を映画館に、県庁前広場をキャンプ場に、
銀行跡をライヴ会場に、消防署跡をアートセンターに ...。
空き地で子どもたちが新しい遊びを発明するように、使いかたを工夫しながら、
アートによって空間を再生していこうとする、壊しては作るという時代への抵抗の始まりです。
2009年には空きデパートの中の映画館跡を再生。
地方では珍しい名画座として「シネマまえばし」を開館します。
これは《1回 一万人というイベントではなく 毎日30人1年で一万人を 街に》というコンセプトで、
失われつつある「日常性」と「つながりあう気持ち」をゆっくりと恢復していこうとするものです。

そして、フリッツ・アートセンターは 今。
成長に代わるまったく新しい豊かさのあり方を見つけるために、
35年かけて創った小さな物語と、そこから生まれた価値観を見直し、
未来から今を思い描き、変化を恐れずに、また動いて行こうと思います。
考え過ぎると厄介なことになると知っていて、何を見ても無感覚でいなくてはならないような時代に生きて。
たとえ小さくても、ここからだけしかできない「確かなこと」と「生きやすい」場所への鍛え直し。
主流や時流や大きな力に、抗うことでも、拠ることでもなく、
ただ『絵本みたいな場所』という新しい眺めをつくってみること。

《絵本みたいな場所》

絵本作家・ミロコマチコさんが、シンガー・あがた森魚さんの宮沢賢治朗読で、ライブペインティングした15個の本棚。
フランスから10トンもあるパン窯を運んで建った〈公園の薪窯パン屋〉の開店。前庭にたくさんの子どもたちと植えた〈百年のモミの木〉と、地面そのものを〈花花の椅子〉にするために育てるクレピア ....。
日替わりで若いロースターが淹れる〈コーヒースタンド〉のセルフビルド。中庭に、若い人たちと掘る、小鳥たちのための〈そらの井戸〉と、檸檬の苗木をたくさん植え造る〈果樹園〉。
そして、絵本作家・荒井良二さんと、共に紡ぎ始める「願いが叶う庭」、〈カナウニワ〉の国の物語。

『カナウニワ』

この場所はきっといつかの夏の日。薪窯で焼けたばかりのライ麦パンと、井戸水と獲れたばかりの檸檬を絞ったレモネードと、古い古いお話の絵本を抱えた子どもたちが、50メートルにもなるモミの木の下で、近くの森での遊びの相談をしているわけで。

そんな木陰を 今からつくっておきたい。

あまりにもきれいな夕焼けに立ち止まってみること。
あまりにも美味しいいつもの水に驚いてみること。
そして、それを誰かに伝えようとする気持ち。
あたらしいひと。あたらしい世界。あたらしい幸福。
街の喧噪の、森の静寂の中、遠くを旅するより、近くを冒険するひとのために。
大好きだと言えるひとのために。その笑顔のために。
そして、
子どもたちの 子どもたちの 子どもたちのために。

フリッツ・アートセンター