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【the place RECORD】

寺尾沙穂『北へ向かう』
「さよならの歌」の誰だ?から、いつの日かこの場所でとずっと思っている 寺尾紗穂さんから、待ち焦がれた贈り物が届いています(以下ライナーから)。

「歌」は、聴くものによってその物語を紡ぎ出す。すべての人の胸に、このうつくしい歌がとどきますように。

前作『たよりないもののために』以来約3年ぶりとなるオリジナル・ソロ・アルバム。
ゲスト・ミュージシャンにはともに「今」を歩み続ける多彩な面々が集結し、寺尾紗穂の流麗な歌声とピアノ演奏に、華やぎと豊かな感情を注いでいる。寺尾の実父・寺尾次郎の逝去に際し書き上げた「北へ向かう」は、キセルによるふくよかな編曲と演奏を伴い、キャリアに燦然と輝く名曲の誕生を予感させる。また、あだち麗三郎と伊賀航という気の置けない二人を交えた、「心のままに」、「選択」の温かでいて鮮烈なグルーヴ。蓮沼執太による編曲の元、歌とオーケストレーションの新たなスタンダードを作り上げた「やくらい行き」。名作『苦海浄土』などで知られる不世出の女流作家・石牟礼道子の詩に寺尾紗穂が壮麗なメロディーを纏わせ、マヒトゥ・ザ・ピーポーのエモーショナルかつ繊細なギターが加わる「夕刻」。かねてから交流を重ねてきた映画監督・安藤桃子による詩とコラボレーションした、胸打つ弾き語り曲「そらとうみ」。U-zhaanによるメロディックなタブラが寄り添う「記憶」……。収められた全ての楽曲が、「今歌われるべき」という細やかな萌芽に満ちた、決定的アルバム作品がここに完成した。

参加ミュージシャン:あだち麗三郎(ドラム、パーカッション)・伊賀航(ベース)・池田若菜(フルート)・歌島昌智(民族楽器)・キセル(編曲、ギター、ベース、コーラス)・北山ゆうこ(ドラム、コーラス)・ゴンドウトモヒコ(ユーフォニアム、フリューゲルホルン)・千葉広樹(バイオリン)・蓮沼執太(編曲)・マヒトゥ・ザ・ピーポー(ギター)・U-zhaan(タブラ)

…………

the place RECORD
for music lovers, peaceniks & wild child.

一対のブックエンドのように
音楽が、想い出や一緒に過ごした時間や場所を、いつもやさしく包んでいてほしい。
公園の絵本屋のなかに、そんな願いを込めた小さなCDショップをつくります。
ここが、穏やかで�素晴らしい音楽との、偶然の出会いの場所となりますように ……。

◎ the place RECORD には、ジャンル・サインはありません。ただ、出会ってもらうために、新しい158枚のCDを、壁に音が見えるように並べます。
試聴は全て出来ますが、館内のスピーカーを使って、選ばれた一枚一枚で「音の風景」をつくります。
CDのセレクトは、大宮市にある 〈more records〉。more records のスタッフが責任をもってお薦めできるものだけをご紹介していきます。

‪〒371-0036 前橋市敷島町240-28(敷島公園内)‬
休館 ‖火曜日 開館時間 ‖‪10:00 – 19:00‬
TEL ‪027-235-8989‬ FAX ‪027-235-8990‬
E-mail info@theplace1985.com

www.theplace1985.com

#前橋市 #フリッツアートセンター #セレクトCDショップ #morerecords #絵本みたいな場所

ものがたり

1985年「カフェ」 1993年「本屋」 2009年「映画館」 2014年「the place」
そして 2019年〈絵本みたいな場所〉へ

〈絵本みたいな場所〉という物語は、1985年の “カフェ RITZ" からはじまります。
大きな公園の森のなかの、石でできた四角いおとこの建物です。
30種類のオムレツとキッシュと庭の結婚式が評判のカフェでした。
しばらくして、ひとりぼっちだった RITZ にパートナーができます。
すぐとなり、百年の杉の木の下の、赤くてまるいおんなの子の建物で、
RITZ に女性の「F」をつけて "F-ritz art center" と名づけることにしました。1993年のことです。
その時の《1+1=1》というコンセプトは、より多くとか、より早くとか、より高くということではなく、
変らぬ毎日の営みのなかで、すこしずつ円周を拡げていこうとするものです。
そう、ひとつの水滴にもうひとつの水滴を置いていくかのように …。

『絵本屋』『タンタン・ボックス 前橋店』『ポスター・ボックス』
『美容室』LE SALON、『家具屋』RETRO BOX .....。

「クリスチャン・ボルタンスキー展」と「くまのプーさん絵本原画展」をオープニングにしたギャラリーでは、
数多くの新たな表現が生まれています。
《賢治の全童話を絵本に》と始められた「宮沢賢治絵本原画展」も、第十三期30作目になります。
同時に《街を 街そのものを美術館に 劇場に》を合い言葉に、街にも出かけて行くようになります。
家具店跡をギャラリーに、スーパーマーケット跡を劇場に、商店街の通りをサーカス会場に、
百貨店跡をパフォーマンス・スペースに、アーケード内を映画館に、県庁前広場をキャンプ場に、
銀行跡をライヴ会場に、消防署跡をアートセンターに ...。
空き地で子どもたちが新しい遊びを発明するように、使いかたを工夫しながら、
アートによって空間を再生していこうとする、壊しては作るという時代への抵抗の始まりです。
2009年には空きデパートの中の映画館跡を再生。
地方では珍しい名画座として「シネマまえばし」を開館します。
これは《1回 一万人というイベントではなく 毎日30人1年で一万人を 街に》というコンセプトで、
失われつつある「日常性」と「つながりあう気持ち」をゆっくりと恢復していこうとするものです。

そして、フリッツ・アートセンターは 今。
成長に代わるまったく新しい豊かさのあり方を見つけるために、
35年かけて創った小さな物語と、そこから生まれた価値観を見直し、
未来から今を思い描き、変化を恐れずに、また動いて行こうと思います。
考え過ぎると厄介なことになると知っていて、何を見ても無感覚でいなくてはならないような時代に生きて。
たとえ小さくても、ここからだけしかできない「確かなこと」と「生きやすい」場所への鍛え直し。
主流や時流や大きな力に、抗うことでも、拠ることでもなく、
ただ『絵本みたいな場所』という新しい眺めをつくってみること。

《絵本みたいな場所》

絵本作家・ミロコマチコさんが、シンガー・あがた森魚さんの宮沢賢治朗読で、ライブペインティングした15個の本棚。
フランスから10トンもあるパン窯を運んで建った〈公園の薪窯パン屋〉の開店。前庭にたくさんの子どもたちと植えた〈百年のモミの木〉と、地面そのものを〈花花の椅子〉にするために育てるクレピア ....。
日替わりで若いロースターが淹れる〈コーヒースタンド〉のセルフビルド。中庭に、若い人たちと掘る、小鳥たちのための〈そらの井戸〉と、檸檬の苗木をたくさん植え造る〈果樹園〉。
そして、絵本作家・荒井良二さんと、共に紡ぎ始める「願いが叶う庭」、〈カナウニワ〉の国の物語。

『カナウニワ』

この場所はきっといつかの夏の日。薪窯で焼けたばかりのライ麦パンと、井戸水と獲れたばかりの檸檬を絞ったレモネードと、古い古いお話の絵本を抱えた子どもたちが、50メートルにもなるモミの木の下で、近くの森での遊びの相談をしているわけで。

そんな木陰を 今からつくっておきたい。

あまりにもきれいな夕焼けに立ち止まってみること。
あまりにも美味しいいつもの水に驚いてみること。
そして、それを誰かに伝えようとする気持ち。
あたらしいひと。あたらしい世界。あたらしい幸福。
街の喧噪の、森の静寂の中、遠くを旅するより、近くを冒険するひとのために。
大好きだと言えるひとのために。その笑顔のために。
そして、
子どもたちの 子どもたちの 子どもたちのために。

フリッツ・アートセンター