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【絵本みたいな場所】

10/27《カナウニワのはじまり》

アーティストで世界的な影絵師、音楽家の 川村亘平斎さんがやって来ます!

午後は荒井良二さんとライブペインティング。夕方からは、松林で影絵のパフォーマンスと、子どもたちとのワークショップ。

 

どうぞ、どうぞ、お楽しみに!

 

日時 ‖ 10月27日(日)

◉ 14:00-〈ライブペインティング〉荒井良二+川村亘平斎(ガムラン)

◉ 17:00-〈影絵とワークショップ〉川村亘平斎

場所 ‖ フリッツ・アートセンター / カナウニワ

● 〈影絵〉は 敷島公園 松林

参加 ‖ 自由で無料

 

☆《森と空と水のバザール》

日時 ‖ 10月26日(土)27日(日)11:00-16:00

場所 ‖ フリッツ・アートセンター

 

http://theplace1985.com

 

川村亘平斎 かわむらこうへいさい

影絵師/音楽家。

1980年、東京生まれ。インドネシア共和国・バリ島に2年間滞在し、影絵人形芝居《ワヤン・クリット》と伝統打楽器《ガムラン》を学ぶ。アジアを中心に世界各国で影絵と音楽のパフォーマンスを発表。日本各地でフィールドワークやワークショップを通じて、土地に残る物語を影絵作品として再生させる活動も高く評価されている。ガムランを使った音楽ユニット《滞空時間》主宰ほか、絵本や漫画の制作、CMへの楽曲提供など幅広く活動している。平成 28 年度第 27 回五島記念文化賞美術新人賞受賞。

《恵比寿映像祭》(’14・東京都立写真美術館)、【サントリー美術館影絵 WS】(’14・六本木アー トナイト)、バンド《cero》アートワーク(’15) 南相馬影絵《ヘビワヘビワ》(’15・福島県福島市)、《巷説昌福寺縁起》(’16/山梨県巨摩郡)《オンガトンガ》(`18・秋田県男鹿市)《イルシラ ナイ アイダニ》(`18山形ビエンナーレ)絵本《おそなえきのみ》(`18・タイ チェンマイ)、シネマ歌舞伎「The DOGGY’s LOOK」影絵演出(`19)、《カベノムコウニオニガイテ》(`19/原美術館)《アフンルパル〜あの世の出入り口》(`19/北海道白老町)ほかを制作。

音楽ユニット《滞空時間》では、東南アジアツアーや細野晴臣氏のイベント出演、漫画《宇宙兄弟》とのコラボ PV などに参加。作曲家として、YAMAHA ・subway・softbank 他CMに楽曲提供。

ものがたり

1985年「カフェ」 1993年「本屋」 2009年「映画館」 2014年「the place」
そして 2019年〈絵本みたいな場所〉へ

〈絵本みたいな場所〉という物語は、1985年の “カフェ RITZ" からはじまります。
大きな公園の森のなかの、石でできた四角いおとこの建物です。
30種類のオムレツとキッシュと庭の結婚式が評判のカフェでした。
しばらくして、ひとりぼっちだった RITZ にパートナーができます。
すぐとなり、百年の杉の木の下の、赤くてまるいおんなの子の建物で、
RITZ に女性の「F」をつけて "F-ritz art center" と名づけることにしました。1993年のことです。
その時の《1+1=1》というコンセプトは、より多くとか、より早くとか、より高くということではなく、
変らぬ毎日の営みのなかで、すこしずつ円周を拡げていこうとするものです。
そう、ひとつの水滴にもうひとつの水滴を置いていくかのように …。

『絵本屋』『タンタン・ボックス 前橋店』『ポスター・ボックス』
『美容室』LE SALON、『家具屋』RETRO BOX .....。

「クリスチャン・ボルタンスキー展」と「くまのプーさん絵本原画展」をオープニングにしたギャラリーでは、
数多くの新たな表現が生まれています。
《賢治の全童話を絵本に》と始められた「宮沢賢治絵本原画展」も、第十三期30作目になります。
同時に《街を 街そのものを美術館に 劇場に》を合い言葉に、街にも出かけて行くようになります。
家具店跡をギャラリーに、スーパーマーケット跡を劇場に、商店街の通りをサーカス会場に、
百貨店跡をパフォーマンス・スペースに、アーケード内を映画館に、県庁前広場をキャンプ場に、
銀行跡をライヴ会場に、消防署跡をアートセンターに ...。
空き地で子どもたちが新しい遊びを発明するように、使いかたを工夫しながら、
アートによって空間を再生していこうとする、壊しては作るという時代への抵抗の始まりです。
2009年には空きデパートの中の映画館跡を再生。
地方では珍しい名画座として「シネマまえばし」を開館します。
これは《1回 一万人というイベントではなく 毎日30人1年で一万人を 街に》というコンセプトで、
失われつつある「日常性」と「つながりあう気持ち」をゆっくりと恢復していこうとするものです。

そして、フリッツ・アートセンターは 今。
成長に代わるまったく新しい豊かさのあり方を見つけるために、
35年かけて創った小さな物語と、そこから生まれた価値観を見直し、
未来から今を思い描き、変化を恐れずに、また動いて行こうと思います。
考え過ぎると厄介なことになると知っていて、何を見ても無感覚でいなくてはならないような時代に生きて。
たとえ小さくても、ここからだけしかできない「確かなこと」と「生きやすい」場所への鍛え直し。
主流や時流や大きな力に、抗うことでも、拠ることでもなく、
ただ『絵本みたいな場所』という新しい眺めをつくってみること。

《絵本みたいな場所》

絵本作家・ミロコマチコさんが、シンガー・あがた森魚さんの宮沢賢治朗読で、ライブペインティングした15個の本棚。
フランスから10トンもあるパン窯を運んで建った〈公園の薪窯パン屋〉の開店。前庭にたくさんの子どもたちと植えた〈百年のモミの木〉と、地面そのものを〈花花の椅子〉にするために育てるクレピア ....。
日替わりで若いロースターが淹れる〈コーヒースタンド〉のセルフビルド。中庭に、若い人たちと掘る、小鳥たちのための〈そらの井戸〉と、檸檬の苗木をたくさん植え造る〈果樹園〉。
そして、絵本作家・荒井良二さんと、共に紡ぎ始める「願いが叶う庭」、〈カナウニワ〉の国の物語。

『カナウニワ』

この場所はきっといつかの夏の日。薪窯で焼けたばかりのライ麦パンと、井戸水と獲れたばかりの檸檬を絞ったレモネードと、古い古いお話の絵本を抱えた子どもたちが、50メートルにもなるモミの木の下で、近くの森での遊びの相談をしているわけで。

そんな木陰を 今からつくっておきたい。

あまりにもきれいな夕焼けに立ち止まってみること。
あまりにも美味しいいつもの水に驚いてみること。
そして、それを誰かに伝えようとする気持ち。
あたらしいひと。あたらしい世界。あたらしい幸福。
街の喧噪の、森の静寂の中、遠くを旅するより、近くを冒険するひとのために。
大好きだと言えるひとのために。その笑顔のために。
そして、
子どもたちの 子どもたちの 子どもたちのために。

フリッツ・アートセンター